例題1.
小子化の進む中、あえて学習塾を起業してはや5年。授業料は高いが、それに違わない高品質の個別指導を売り物にしたのだが、これほど流行るとはゆめゆめ思わなかった。妻も心配してくれていたから、きょうは慰労の旅行に来ている。海を望むレストランで、先ほどディナーをしたところだ。バルコニーで満天の星を見上げながら、ふと笑みがこぼれる。
例題2.
明日は、実家に手伝いに行くことになっている。ついに物置を片付けるというのだ。物置といっても、戦前に祖父が営んでいた剣道の道場の名残で、かなり広い。父も小さいころから剣道をやっていて、大きな大会で優勝したときには父子鷹と新聞に載ったこともあるそうだ。
例題3.
直樹は来月からの生活に胸を踊らせていた。大都会、一人暮らし、電車通勤と、すべからく人生初の挑戦だ。あのまま父親の経営する会社にいれば、順調に出世して、いずれは社長を継ぐことになっただろう。しかし、自分に経営者としての才能がないのは、よく自負している。新しい勤め先は、親の力を借りずに探した。都会ではそんなに知名度のある会社ではないので、資産家の息子だとばれることはないだろうが、人の口に戸は立てられない。どこで知られないともかぎらないから、そこは注意するに越したことはない。
例題4.
NHKのニュースが、誰でも知っている二枚目俳優が飲酒運転で逮捕された、と報じていた。アルコール依存症で長年苦しんでいたらしい。真一郎はそんな馬鹿な、と思ったが、国営放送が億測で報道するはずがない。才色兼備の彼が、何でそんなふうになってしまったのだろう。


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